神社に住み着いていた14歳の老猫が安全な室内での幸せを掴むまで
これはねこ大家が保護した「福爺」という老猫の物語です。
ねこ大家の会社近くにある神社で過ごす猫がいました。
人懐っこい性格もありご近所の方からも愛され人気の猫でした。その子が「福爺」でした。
福爺は寒いときや雨のときは神社の本殿に入り込み、雨風を凌いでいました。毎日色んな餌やりさんがいたので幸いご飯には困っていなかったそうです。しかし、、、
厳しい外の環境
ねこ大家が福爺に初めて出会ったのは神社にお参りに行ったときでした。
福爺を見かけると鼻は血まみれ。
眼球は白く濁っていて見えているのかわからない状態。
失明をしている可能性もありますし、このままでは病気になってしまうのではないかと心配になりました。
ねこ大家は毎日お参りを兼ねて、福爺の様子を見ることにしたんです。
そんな日が続いた8月のある日のこと。
いつもの場所で寝ている福爺を見つけたのですが、鼻からはいつもよりひどく出血しており、手からも血がにじみ出ていました。
このままでは命の危険を感じたため、すぐに保護して病院に連れていきました。幸い人馴れをしていたので手で捕まえてすぐに捕獲に成功。
診断の結果、幸い福爺は健康体ではあるものの、エイズ検査は陽性。
また、蚊に刺されたことによるアレルギー反応で、鼻の腫れや眼球が白くなっていたことがわかりました。
毎日外の厳しい環境だけでなく、夏の時期には蚊に刺される苦しさと14年間も戦ってきていたんです。
実際に餌やりさんのお話では、真冬の蚊がいない時期だけは綺麗な状態だったそうです。
14年間外で暮らした猫を室内で保護する難しさ
とにかく蚊に刺されない状況を作るために、職場で保護し治療をすることにしました。
しかし、14年間自由気ままに暮らしてきた福爺にとって室内の環境はとても苦しいものでした。保護してから1日中泣き続け、餌もトイレもひっくり返したりする始末。
「いっそ、元いた神社に戻してあげた方が幸せなんじゃないか…?」と心が折れそうになる時期もありましたが、それではまたアレルギーで苦しむことになります。
それに外の危険は蚊だけではありません。
福爺と一緒にご飯をもらっていた猫ちゃんは餌やりさん曰く、福爺を保護する数日前に車に轢かれ亡くなっていました。
福爺が今後の人生を安心安全な環境で過ごせるように、ここで諦めてはいけないと続けることを決心しました。
その後1ヶ月ぐらいは鳴き続けていましたが、少しずつ環境にも慣れてきて外を見ながら寛いでくれるようになったんです。
人が好きな福爺は寂しいとウロウロし始め、撫でると鳴くのもピタッと止む甘えん坊な猫になりました。
タオルを敷くとわざわざそこで横になってくれたりなど安心した様子を見せてくれることも増え
子猫用に購入したベビーカーがお気に入りのお昼寝スポットに。
順調に人馴れも進み、譲渡も進められると思っていたのですが、、、
14歳エイズ持ちという条件の厳しさ
保護してから3ヶ月が経ち、怪我は完治し室内の環境にも慣れてきたので里親募集を始めました。
それに合わせて、毎日抱っこトレーニングを始めました。
Instagramで里親募集をしたところ、ありがたいことに5組問い合わせがあり、2組が実際に会いに来てくれました。
ただ、福爺は人には慣れていますが猫は苦手です。唯一気を許していたのが先程紹介した神社で一緒にご飯をもらっていた子だけでした。さらにエイズ陽性のため、先住猫ちゃんがいるご家庭ではストレスが増える懸念もありました。
温かい手を差し伸べていただきましたが、焦らずもう少し様子見をするため一時里親募集を停止。福爺が本当に幸せになれる御縁が来るのをゆっくり待つことにしました。
それまでの間に、歯の手術を行いました。保護したときから歯石が多くあり、かなり口臭もひどかったので健康的に長く暮らせるように手術を行いました。
その際にはフォロワーさんからお守りや絵馬をいただくなど、沢山の方に福爺は愛されていました。
そんな日々を送りながら、里親募集を続けた結果、、、
ついにトライアルが決定!
二度目となる、里親募集の開始。
実はもしこの募集で御縁がなければ、看板猫としてねこ大家にいてもらおうと決めていました。
ですが、Instagramの投稿を見てすぐに会い来てくれたご家族がトライアルを希望してくれたのです!
トライアル前には14年間住んでいた神社へ、御礼参りに行きました。
福爺と神社を歩きながら今までのことを思い返しました。
沢山の人が福爺を愛してくれたこと。
ここで福爺と出会えたこと。
14年間外で大変なことが沢山あっただろうけど、福爺を神様が守ってくれたこと。
本当に色んな感情が湧き上がってきました。
福爺に関わってくれた全ての人や猫に感謝しながら、トライアルまでの日を楽しみに、そして噛み締めながら過ごしました。
夢にまでみたトライアル出発の日
私達の様子がいつもと違う雰囲気を感じたのか、福爺も落ち着かない様子でした。
「大丈夫だと」と福爺にも、そして自分にも言い聞かせながら今までの感謝を伝えました。
初めは嫌がっていた抱っこも、いつの間にかこんなにも許してくれることに福爺との短くも長い過ごした時間を感じました。
福爺と過ごした時間はとても穏やかで、老猫の魅力を沢山教えてもらいました。
「これで最後」と思うとなかなか抱っこを終わりにできなかったことを今でも思い出します。
そして私達は福爺をトライアル先へと送り届けました。
幸せをつかんだ福爺
トライアル先での生活が始まりました。初日は案の定、朝まで夜鳴きが続きました。
里親さんはそんな夜鳴きにも向き合ってくれて、夜中から朝方まで鳴くたびに起きて寄り添ってくれました。
しかし、福爺も徐々に慣れてきて、押入れに寛ぐ場所を作ってもらった際は安心したのか、職場では一度もおもちゃに興味を見せなかったのに猫じゃらしで遊んでくれたのです!
私達が知らない福爺の一面を聞いた時、ちょっとだけ寂しい気持ちがありつつも、家族として受け入れられている福爺のことを嬉しく思いました。
そして順調に家族の一員となった福爺は正式譲渡となりました。
こんなに素敵なお家に迎えてもらえるなんて、14年間頑張った福爺への神様からのプレゼントみたいでした。
もう寒い思いも、痒い思いもしなくていい。
沢山甘えて幸せになってね。
福爺との穏やかな時間はとても心地よく毎日が幸せでした。
「福ちゃん、ありがとう」













